なりゆき寺子屋 第三回
“鈴木久美さん、あらわる”レポ
京都市営地下鉄烏丸線・鞍馬口駅より約5分、
スペイン瓦や丸窓が配された築80年の歴史ある館・紫明会館講堂。
遅刻のスタート、誠に申し訳ありませんでした!!
まず謝罪から始まります、第三回「なりゆき寺子屋」レポでございます。
鈴木さんと京都で一緒に美味しいお昼ごはんが食べたかったんです…
で、カレー食べてて遅刻って、高校生の部活の言い訳のような理由で…
思い出したらまたカレーが食べたくなってきたところ気を取り直して、、、
始まります!!
「一緒に走りたいじゃないですか」
鈴木さんの簡単な自己紹介に始まり、早速の質疑応答。
「今、装画をやってみたい方ってどれくらいいらっしゃいますか」
「すごい、写真におさめたいくらい嬉しい。文芸編集者に教えたいくらいです。」
会う前に想像していた“豪腕・女傑”の勝手なイメージをふわりと裏切られ、
「あまり人前でお話するのに馴れていません」と事前におっしゃっていたのを疑うほど
発せられる言葉はどれも丁寧で優しく、選び抜かれ、
そのやわらかな声ではっきりと言い切る鈴木さん。
「デザイナーはオーケストラの指揮者のような役割だと思っています。
楽器を奏でるのは指揮者ではない、でも全てのバランスをとりながら音楽を作り上げます」
「イラストレーターさんとは、運動会の二人三脚のように、「よーい、ドン!」で
「お願いします!」と足を結んで、ゴールまで一緒に走りたいと考えています。」
本に対する愛情、そして絵もデザインも大好きという姿勢、
同時に本を取りまく現場の厳しさもひしひしと感じさせる。
気がつけば1時間半以上も経っていた。
15分の休憩をはさんで、第二部開始。
「デザイナーとイラストレーターが一緒に絵を作りあげる、
と考えてもらえると解りやすいと思います」
お持ちいただいた、実際にお仕事で使われた色校を参考に
仕事の流れと経緯をご説明いただく。
印象的だったお仕事、装画のお手本のような事例、キャンパスの場合のトリミング、モチーフの構成、線画の場合、など様々なバリエーションを例に、
発売された本と比べてみたり、作家さんとの細かいやりとり、装画を制作する際の注意点、
発注の段階で伝えていること、ラフのこと、絵の密度、抜け、背の部分、紙質による仕上がりの違い、
やりとりの裏話、時として某熱血テニス漫画のコーチと選手のような、
打って打ち返すようなやりとり、が行なわれるとか…
おおらかで、仕事に対する愛情たっぷりの鈴木さんのトーク。
お話が尽きず、実際に使われたラフ画もお持ちいただいていたのですが、
手抜きじゃないんです!と進行役タケウマの言い訳も入りつつ
時間の関係で課題の講評を優先することに。(段取り悪くてすみません)
ということで、いよいよ講評。
「課題こんなにたくさん提出していただけると思わなくて、嬉しいし、緊張します」
30名近く提出のあった作品を前に、
明快で、具体的で、軽やか。そして的確なアドバイスが始まる。
「考えてみてください」
なぜ切ったのか、なぜ描いたのか、どう描いたのか。
「描ききってください」
デザインの意図、絵として伸びやかに仕上げること。絵を切ることの理由。
着眼点、構図、情感、着地点、なにが見る人を惹きつけるのか、
より本としていいこと、背景の演出、絵の中の技法。
応える参加者との真剣なやりとりは、するどい指摘と優しさにあふれている。
「もっといい二人三脚は最初からイメージがきちんと伝わる絵を提案できること。
そうすると、運動靴を履いている状態からすぐに二人三脚がスタートできる」
鈴木さん、一度だけお茶を口にされ、それ以外は喋りっぱなし。
「すみません、すごく時間がおして…」
そうなんです、すっかり夜です。
講評終了時、既に予定時刻を1時間半のオーバー、、
まさかのライブデザインは中止??ここで鈴木さんから
「…そうだった!!」
参加者の方々に、お土産として束見本などの貴重な品々をご持参いただきました。
ところが全員分には数が足りないため、希望される方に…
そりゃ希望します!
ということで、じゃーんけーんほーーい!!!
さて、場所を移動しまして、これまた恒例の交流会でございます。
いやあ、皆様、本当にお疲れさまでした。
ゆっくり呑んだり食べたりしてくださいね。
和気あいあい歓談中、、
「ちょっとやりましょうか」
おもむろにMacを開き、マウスを手にする鈴木さん。
参加者の課題作品データを呼出し、、、
「皆さん、ちゃんと飲み食いしてくださいね」と皆を気遣いながら、
時として絵と対話し、文字に怒られたり、呼ばれたり、
…この人、永遠にやり続けるんじゃないかしら。と思わせる瞬間を感じさせつつ、
1時間以上、講義&ライブデザイン。そのマウス使いの速いこと。
気がつけば、閉店間近。。
(大事なマウスと、キーボードをお返しして…お疲れさまでしたー!!!)
「全部の絵でやりたかったくらいですね。
絵と文字を組んだらどうなるんだろうという
その瞬間が一番わくわくするので、
今日、今が一番楽しかったです(きっぱり)」
なんと嬉しいお言葉…
そして名刺交換、ファイル提出の嵐の中、
またもや的確かつ具体的なアドバイスをする鈴木さん。
たおやかな、気迫。
熱く、真っすぐで、しなやかなタクト捌き。
この方と仕事ができるイラストレーターさんは幸せに違いない。
そして、イラストレーターももっと勉強しなければ。
そう思わずにいられない夜でした。
後日、鈴木さんより優秀作品10名の発表があり、
装画の参考作品として、デザインしたものが参加者の方々に贈られました。
鈴木さん、そして参加者の皆さん、
設備も充実したとても素敵な会場でした、紫明会館さま、
開始時間をずらしてくださった交流会会場さま、
本当にありがとうございました!!
「次回は、○○さんがいいんじゃないでしょうか」
三次会でも、最後の最後までアドバイスを忘れない鈴木さんでした。
最後に、今回も告知、広報をお手伝いくださった皆さまにも心より感謝いたします。
また来年の寺子屋でお会いしましょう。お疲れさまでしたー!!
予告>>>来る12月13日、東京より木内達朗しをお招きして
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(text by 生駒さちこ)(photograph by サタケシュンスケ、生駒さちこ)
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