「こどもやすみ」 登竜門的コンペ2

暑中お見舞い申し上げます。なりゆきメンバーはキャンプin和歌山で

充電してまいりました。
そんなわけで、久々になりゆき企画のコラムを書いてみます。

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登竜門的コンペ2 ~ザ・チョイスなど~

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そう、言わずと知れたイラストレーターの登竜門といえば

「ザ・チョイス」。

玄光社の発行する「イラストレーション」誌が2ヶ月に1回行っている(現在は3ヶ月に1回)コンペ。

ここに入選した後、イラストレーターになっている人が多いことから、多くのイラストレーターが入選

目指して作品を送っている。

専門学校のときからチョイスの存在は知っていた。ただ、応募するには雑誌についている応募券と少々

の出品料がいる。

そんなわけで、貧乏学生の僕には雑誌を買わずに、学校に図書館にあるイラストレーション誌の応募券

をこっそり切り取って、たまーに応募してた。

でも、スタイルも定まらない学生時代は最終選考すら引っかかる事無く、ただ、落選の通知を知らせ

るA4の紙1枚と、作品が返却される日々だった。

今思えば、懸賞に応募する感覚で送っていたし、落選するのも当然の事だった気がする。

そして卒業後、フリーターとなった僕は、覚悟を決め、チョイスに毎回応募する事を自分に義務づける。

毎回審査員が変わるコンペだけど、審査員の好き嫌い関係なく、毎回出す事にした。当然、雑誌も毎回

買うようにして、バイブルのように隅々まで熟読してた。

2ヶ月に1回なので、その間に作品は10点以上作り、その中から選別した5点をきれいに梱包して送る。

その作業を繰り返して1年。

ある日、バイトから帰ると滅多に光らない留守電のランプがチカチカと点滅してる。

何だろうと聞いてみると、女の人の声で、

「ザ・チョイス、今回の白根さんの審査で入選されました」

まずはびっくりして固まる。そして次の瞬間、心の中でガッツポーズ(実際に小さくしてたかも)

同時に波のように嬉しさがこみ上げてくる。だけど、その瞬間もう一人の冷静な自分が登場。

「たかが1回入選したぐらいで」

もう一人の自分の登場で、爆発しそうな喜びの感情を押し殺す自分がいたのを覚えてる。

夜中の1時の出来事。

そう、チョイスに1回入選するのは、まぐれでもいける。何度か入選してはじめて実力。

そう先輩からきいたことがあった。

なので、3回以上入選してはじめて喜ぼうと思ってた。

冷静になったあと、すぐに次のチョイスに送る作品の構想へと気持ちを切り替えてた。

ちなみにこの時入選してたメンバーにはqpさんや氷見こずえさん、テッサンがいた。

入選した作品 「こどものりば15」

それからまた1年、落選を繰り返すけど、最終選考に残る事も多く、焦りも無くひたすら描いては

応募してた。

そして1年後、佐野研二郎さんの審査で再び入選の通知。同じなりゆきメンバーのサタケくんや

北村人くん、清水沙さんもこの回に入選してる。

続けてめぐろみよさんの審査でも入選。この時は中島良二くんに尾崎カズミさんなど入選。

もうこのときは、自分に大きな追い風が吹いているのを感じていて、今しかないと思い、ほかのコンペに

も挑戦すると同時に売り込みもさらに多くした。

そう、もともとチョイスに応募するのは入選することが目標じゃなくて、イラストレーターになる事

(自分のなかでは、とりあえずイラストレーションファイルというイラストレーターの年鑑に載る事

)が目標。

なので、入選して雑誌に絵が載っても、すぐに仕事が来るわけでもない。

(実際は運良く、いくつかはきたけど)

そのへんを勘違いしているひとは結構いたりする。

入選してその後活躍してる人は、その後売りこみをいっぱいやっている。

入選しても動かなかった人は消えていく。

表面上は入選すれば、ほっといても仕事がきて、イラストレーターになれるようにみえるけど、実際

はそんなことはない。

それはdigmeoutのオーディション後に経験してた事だったので、自分には良かった。

そういうわけで、夜行バスで東京に行き、売り込みや展覧会、イベントで作品を発表していくうちに

イラストレーターになれたのでした。

アートイベント GEISAI にて

まとめに入ってみると、ようはコンペはイラストレーターになるための一手段。

入選すると自信になる。それをきっかけに動き回るのが大事なのかな。

あとは、闇雲にコンペに出すより、目的があったほうが良い気がする。

僕の場合は、チョイス以外のコンペは、入選したら個展ができるというものばかり選んでた。東京でギャラ

リーを借りて個展をするにも結構費用がかかる。

だから入選しての展示だと、無料だし注目もされてお客さんもきてくれる。

コンペに出してほかに良かった事は、入選した同期と良い距離感でライバルになれること。

入選するころはほとんど実績がないわけで、同じスタートラインからスタートした仲間として、今でも

意識する。

東京の方が多く、滅多に会うことはないけど、書店や街中で絵を見かけるので刺激される。

同期のイラストレーター仲間は貴重な財産なんですよね。

ここ数年、コンペには出してないけど、僕自身、海外のコンペにも挑戦していきたいし、常に挑戦する

という意味でコンペには出し続けたいですね。

また次回。