サタケシュンスケ ”フリーランス道をゆく”
第5回「イラストレーターになるには(2)」

決まった組織に属さず、自らの力だけで世を渡り歩く、フリーランス。
自由人と言えば聞こえはイイが、ルールの無い環境では自己管理がすべて。
仕事とプライベートの区別はもはや無いに等しく、
そこは自分を律する事のできる者しか生き抜く事のできない厳しい世界。

このブログは、知ってか知らずかそんな棘の道を日々進み続ける
若輩フリーランサーサタケシュンスケが人知れずお贈りするフリーランス道奮闘記である。
毎回、怖れ多くも様々なテーマについて、気まぐれかつ大胆に、適当に語っていきます。

 

第5回テーマ

イラストレーターになるには(2)

 

さて、前回の記事をお読みいただき、
名刺とポートフォリオの準備が出来たあなたは
はれてイラストレーターの仲間入りを果たしました。

…が、それだけで急にお仕事の依頼が舞い込んで来るわけではありませんよね。
そうです、その作った名刺とポートフォリオを持って外へ出て
たくさんの人に自分を知ってもらわなければなりません。
そうした先に、お仕事をいただく機会も生まれるという訳なのです。

今回はそんないわゆる「売り込み」という事をテーマに。
今よりもまださらにずっと青い(今もじゅうぶん青いですが)、
駆け出しの頃の僕の経験を元にお話させていただきます。

 

売り込み先(例:出版社)


 

イラストレーターの営業方法について書かれている本などには
売り込み先のひとつとして挙げられている事の多い
「出版社への売り込み」を例にとってみます。

本の装丁や挿絵のお仕事で、
僕もいつも大変お世話になっている出版社さん。
そんな出版社からお仕事をいただくには。

まずは自分のイラストが合いそうな出版社を探すことから始まり、
ドキドキしながら電話(またはメール?)をかけ、
アポイントメントを取りつけた後、担当者の方に会って
目の前でポートフォリオを見てもらう… という段取りでしょうか。
もちろん、お仕事が関係する以上は真剣な世界、
良い反応もあれば良くない反応もあることでしょう。
なんとも手に汗握る緊張の時間ですよね…!

この、ある意味基本中の基本とも言える出版社への売り込みですが、
じつはここだけの話、ビビりな僕はこれまで1度きりしかやった事がありません…。
もっと頑張らんかい!って話ですよね… 自分でも深くそう思います…。
しかもその1回も、仕事には結びついてはいません…。

これはただ単に僕がビビってサボっていたというだけの話で、
悪いお手本だと思って受け取ってください。
(こ、今後はもう少しがんばろうと…思います。)

ちなみに出版社によってはポートフォリオは郵送受付のみで、
すぐには担当者の方にお会いできない事もしばしば。
そりゃそうですよね、ただでさえ忙しいであろう会社は
毎日たくさん来る売り込みにすべて対応するのは不可能でしょう…。

とにかく、僕は基本とも言える売り込みにおいて
苦手なところを避けてきてしまった訳です。ダメ男なのです。

 

 

イラストレーター・エージェント


 

では、当初どこに売り込んでいたのかと言いますと
イラストレーターエージェント、
クライアントととなる企業とイラストレーターの間で
マネージメントやコーディネートをしてくれる会社です。

「イラスト エージェント」などで検索してみてください。
たくさん出てくると思います。

会社によって各々様々ですが、登録制にしているところが多く、
専属契約で無い限りは特にお仕事の制限はありません。
僕もどこかの専属、という事ではありませんので
基本的にはお仕事の都度やりとりする感じです。

駆け出しの頃はまだ自分の作品がどういったお仕事に向いているのか、
または今後どういった方向性で描き続けていけばいいのか、など
わからない事や、知りたい事、ご意見をもらいたい事が多いので、
たくさんのイラストレーターと日々やり取りをしている
エージェントの方に作品を見てもらい、アドバイスをいただいたりしました。

もちろん、見てもらってすぐにお仕事が、なんて甘くはないですが、
定期的に作品を見てもらううちに、たくさん学ばせてもらって、
成長させていただいたな~と、ありがたく思うのです。

僕の場合はそうやってお仕事をいただくようになりました。
そのお仕事を見てくれた方がお仕事をくれて、
またそのお仕事を見てくれた方が… という具合に繋がっていき、
今に至るという訳なのです。

初めは誰でも、ひとつのお仕事からはじまりますもんね。

 

 

売り込み、とは少しちがいますが


 

広く、自分の名を知ってもらうという意味では公募、コンペなども。
賞でも取ろうものなら一躍脚光を浴びる事ができるかも!
と、夢を抱き僕も熱心にいろんなところに作品を出しました。
TIS公募、HBファイルコンペ、ペーターズギャラリーコンペ、
ザ・チョイス、ノート展、…他、 などなど、挙げれば数知れず。

ただしそのほとんどが惨敗。
目に見えるような結果には結びつきませんでしたけど、
応募する度に自分の作品と向き合い試行錯誤を繰り返すので、
そういう意味では相当鍛えられたという気がします。

あとはなりゆきサーカスのメンバー一同も載せてもらっている
イラストレーションファイル(玄光社)などの年鑑、
本によっては審査、もちろん掲載料も必要ですが
不特定多数の人や企業に広く見てもらえるので、
自分のネットワークでは及ばない範囲の方にも
作品を知ってもらえる効果は大きいと思います。

最後に展覧会。それも、グループ展ではなく、個展。
やはり、これ以上に作品をじっくり見てもらう手段はないのではないでしょうか。
思えば僕のイラストレーターとしての第一歩は右も左もわからないまま望んだ初個展。
無知をいい事に、怖い物知らずの勢い任せに
あった事もないようないろんな人にまでDMを送り付けたりもしました。
今思えば失礼だったなぁ…と反省もしますが、
そこから今にも繋がるステキな出会いがたくさんありました。
今でも展覧会を開くたび、得るものの大きさは計り知れません。

などなど、挙げると他にもたくさん出てきそうですし、
人によってベストな売り込みの方法は千差万別だと思います。
今回は僕がやってきた事、やり続けている事を中心に書いてみました。
もちろん、当たり前の事すぎて今更語るまでもない事かもしれませんが、
こうして書き出す事で、あらためてその重要性を感じています。

…さて、お気付きの方もいらっしゃるでしょうか。
今回の記事は文字ばっかりで、ついにまったくイラストが入らなくなった事を。
売り込みとは、などと偉そうに語る前に、絵のひとつでも描きなさいよ!
お怒りの声が聞こえてきそうです。ええ、ごもっとも… 
ちょっと個展の時期と重なってしまい…、
いえ、言い訳はしません。。。次回からは頑張ります。

こんな不定期更新な記事ですが、
ありがたい事に毎回読んでくださる方もいらっしゃるようで。
そんなご期待に添えるよう、本業そっちのけでネタ探しに翻弄します。
これからもどうぞ気長にお待ちくださいませ。

それでは、今日はこのへんで。

 

2013.2.3

 

サタケシュンスケ イラストレーター(フリーランス7年目)
1981年 大阪府枚方市生まれ 兵庫県神戸市在住
広告制作会社勤務のグラフィックデザイナーを経て2007年に独立、
以後フリーランスのイラストレーターとして活動をはじめる。
主な仕事は広告、書籍、教材等で使用するイラストレーションおよび
キャラクターの制作、モチーフは人物や動物、静物画が中心。

 


 

バックナンバー

http://nariyuki-circus.com/kikaku/フリーランス道をゆく/

 

 


“サタケシュンスケ ”フリーランス道をゆく”
第5回「イラストレーターになるには(2)」” への1件のコメント

  1. コウ/KOH より:

    エージェントを活用するという手もあるのですね!
    100~200社ぐらいは営業に行くものだと思ってました・・・

    サタケさんほど、個展やグループ展、ワークショップといったイベントを頻繁に行ってらっしゃる方をあまり存じてないので、貴重な体験談は参考になることばかりです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.

なりゆきサーカス企画一覧 >

家に絵を飾る 第3弾

影響力

中川貴雄
映画『GAMBA ガンバと仲間たち』エンドロール背景画

中川貴雄
野ばら 月夜とめがね

サタケシュンスケ
Paper Culture Holiday Cards

サタケシュンスケ
紀陽銀行×FM802 ノベルティ

記事一覧 >