サタケシュンスケ ”フリーランス道をゆく”
第4回「イラストレーターになるには(1)」

決まった組織に属さず、自らの力だけで世を渡り歩く、フリーランス。
自由人と言えば聞こえはイイが、ルールの無い環境では自己管理がすべて。
仕事とプライベートの区別はもはや無いに等しく、
そこは自分を律する事のできる者しか生き抜く事のできない厳しい世界。

このブログは、知ってか知らずかそんな棘の道を日々進み続ける
若輩フリーランサーサタケシュンスケが人知れずお贈りするフリーランス道奮闘記である。
毎回、怖れ多くも様々なテーマについて、気まぐれかつ大胆に、適当に語っていきます。

 

第4回テーマ

イラストレーターになるには(1)

 

夏以来の第4回、開始当初は毎月更新が目標だったのに、
はやくもすっかり破綻していて、我ながらふがいない限りです…。

さて、今回のテーマは「イラストレーターになるには」です。

僕は今年でフリーになって7年目に入りまして、
半人前ながら最近ではありがたい事に大学や専門学校などで
自分の事を喋らせてもらう機会もいただけるようになりました。

そんな学校での講義の際、多くの学生の皆さんが大変興味を持ってくれる話、
それが「どうやってイラストレーターになったのか」という話です。
そりゃそうですよね、 皆、そういう仕事に就きたくて学校に通っているのですから。

「イラストレーターになるには」。
主に、学生さんや、これからイラストレーターを目指す方へ向けて 、
また、自分の中の考えを今一度まとめるという意味も込めて、
答えのあるようでないようなテーマですが、
あくまで僕の個人的な経験と考えを中心とした話をお送りしたいと思います。
(ご意見・ご感想大歓迎ですが、ご批判などはどうかお手柔らかに…)

 

イラストレーターとは


 

そもそも、イラストレーターという職業についての定義とは。
最もシンプルに言ってしまえば「イラストを描く人」という事になるでしょうか。
線引きが難しいところですが同じ絵を描くのでも報酬の発生の仕方の違いから
画家や芸術家とは異なるものだと思っています。

形態としては大きく二つ、企業の社員として仕事をするイラストレーター、
もしくは企業に属せず個人で仕事を請け負うイラストレーター。(ちなみに僕は後者です)

どちらも特に決まった資格や免許がないとできないお仕事ではありません。
美容師や教師などと違って、試験があるわけでもありません。
そう言った意味では「私はイラストレーターです」と名乗った時から、
誰でもイラストレーターになれるのです。

 

 

名刺にイラストレーターという肩書きを書く


 

という事で早速結論から言ってしまうと、
「私はイラストレーターです」と名乗りさえずれば、今すぐになれてしまうのです。

……… は?

とお思いの皆様、どうか怒りをお鎮めください…。
僕は何も適当な事を言っているつもりはないのです…!

「イラストレーターです」と名乗りさえずれば、今すぐになれる、

逆に言うと 「イラストレーターです」と名乗らない以上は、いつまで経ってもなれません。

だってそうですよね、自分で イラストレーターと言わなければ、
回りの人たちがそう思ってくれる事はありえませんよね。

結局何が言いたいのかというと、自分はイラストレーターだということを
回りにわかってもらう事が何より一番大事な事だという事です。

学生の皆さんと名刺交換をさせていただく事があるのですが、
皆、恐れ多いと思っての事なのか、名前と連絡先は書いているものの
イラストレーターという肩書きを入れている人は少ないように思います。

僕も同じだったので気持ちはよ〜くわかります。
きっとまだお仕事はじめてもいないのに
イラストレーターと名乗る事には遠慮があるのでしょう。

今はまだ学生だから。まだ独立していないから。

でもそんな事は名刺を渡す相手にとっては関係ありません。
誰だってはじめからプロなわけはないのですから

遠慮せず、臆せず名刺に肩書きを入れましょう。

イラストレーター と。まずはそこからですよね。

僕の今の名刺です。絵柄やデザインはよく変わります(飽き性なもので…)。
絵描きですからね、絵はドーンと入れる事にしています。
でもシーンによっては不向きな時もあるので文字だけのシンプル名刺も併用。

 

 

ポートフォリを作ろう、持ち歩こう。


 

イラストレーターという肩書きが入った名刺を手に入れたあなた。
おめでとうございます、あなたはもうすでにイラストレーターになりました。

が、それだけでお仕事が舞い込んでくるというわけではありません。

イラストレーターと名乗る以上は、どんな絵を描いているのか、
それが相手に伝わらない事にはなにも動き出しません。

という事で、ポートフォリオ(作品ファイル)を作りましょう。
形式は人ぞれぞれ、自由で良いと思いますが
最低限、以下のポイントを抑えておくといいかもしれません。
(あくまで僕個人的意見なので悪しからずご了承下さい)

 

(1)ページ数が多過ぎない 

作品をアピールしたい気持ちはもちろん大事ですが、
見終わるまでに疲れてしまうようなボリュームのファイルでは敬遠されてしまいます。
また、受け取るのを躊躇されるような豪華で立派なポートフォリオは営業向けではないでしょう。
僕は無印良品の10ポケット(20ページ)のA4クリアファイルを よく使っています。

 (2)タッチを絞る

新旧様々なタッチや技法を盛り込みすぎると、いまいちどんな絵を描く人なのか伝わらず、
印象に残りにくくなってしまってはもったいないですよね。
今、お仕事で使ってもらいたいという、できるだけ最近の作品で構成するのがベストでしょうか。
(ただし、作風の幅広さをアピールしたいのであればそれもアリかもしれませんが)

 (3)プロフィールとともに顔写真を載せる

イラストレーターは顔の出るお仕事じゃないので、とか
自分の写真を載せるのはなんだか恥ずかしいしなぁ、などの理由からなのか
それとも別に意識していなかっただけなのか、
プロフィールは載せても顔写真を載せていない人も多いかと思います。
でも逆の立場で考えてください、どんな方なのかよくわからない人に
コンタクトをとりやすいと思うでしょうか?

顔写真ひとつ載せるだけで、 そのハードルはグッと下がると思います。

(これは、ホームページやfacebookでも言える事かもしれません)

 

ポートフォリオが完成したら、名刺とともにいつでもどこでも持ち歩くようにしましょう。
ふと立ち寄ったギャラリー、お店、知り合いの紹介、どこでどんな方に出会えるかわかりません。
チャンスや出会いは突然にやってきます。それを逃さぬよう、日ごろから準備をしておきましょう。

また、僕は同じポートフォリを2冊持って歩くようにしています。
それは、急な出会いの時で、ゆっくり見てもらえる時間がなかったとしても
そのままお渡しできるように、という事です。1冊渡してももう1冊あれば、 安心ですよね。

常日ごろからガツガツしているようですが、大事な事かな、と。

 

2012年12月現在のポートフォリオ。20ページで構成、こんな感じです。
こちらも、内容は日々変わります。

 

 

 

さて、これでイラストレーターとしてスタートするための準備物が整いました。

だらだらと長くなりそうなので今回はひとまずここまで。
続いて第2弾としては売り込み活動編などをお送りしたいなと思います。
いつになるやらわからない更新ですが、気長にお待ちいただければこれ幸いです。

 

ちなみにこのテーマ、何が言いたいのかといいますと
新しいイラストレーター仲間カモン!
という事です。ステキなお仕事だと思うんです。

 

2012.12.29

 

サタケシュンスケ イラストレーター(フリーランス7年目)
1981年 大阪府枚方市生まれ 兵庫県神戸市在住
広告制作会社勤務のグラフィックデザイナーを経て2007年に独立、
以後フリーランスのイラストレーターとして活動をはじめる。
主な仕事は広告、書籍、教材等で使用するイラストレーションおよび
キャラクターの制作、モチーフは人物や動物、静物画が中心。

 


 

バックナンバー

http://nariyuki-circus.com/kikaku/フリーランス道をゆく/

 

 


“サタケシュンスケ ”フリーランス道をゆく”
第4回「イラストレーターになるには(1)」” への4件のフィードバック

  1. コウ/KOH より:

    初めまして、ボクも今はまだ学生ですが
    いずれはフリーランスで活動したいと思ってます。

    ポートフォリオとか保険制度などなど、スゴく勉強になります!
    第2弾期待☆

  2. コウさん

    コメントありがとうございます!
    こうして反応をもらえることが何より嬉しいです。

    そうなんです、まさに学生さんや
    これから独立予定の皆様に向けて書いております。

    第2弾はもちろん、3、4、と続けていければ… と思っております。
    いかんせん不定期更新なので気長におつき合いいただければ幸いです。
    どうぞよろしくお願いいたします!

    サタケシュンスケ

  3. naoko より:

    サタケシュンスケさん、
    はじめまして。
    2016年よりフリーランスでイラストレータ*絵本作家として
    活動を始めましたnaokoと申します!

    コラムすごく勉強になりました。
    またイラストレーターを名乗って初めてイラストレーターになれる、
    という文章に励まされました^ ^

    開始したものの、
    もちろんまだまともな仕事はなく、
    やっと名刺やDMなどを置いて頂けるようになってきた程度ですが、
    毎日不安を一度置けば、
    楽しいことばかりです。
    いつまでも夢のある絵を描き続けて頑張ろうって思えます。

    色々コラムを読んで、
    まだ自分の知らないこともあり、
    身近に中々聞ける方がいないので、
    大変助かります。

    これからもぜひ、
    色々なコラムをUPしてください❁
    楽しみにしています✏︎☺︎

  4. naokoさま
    うれしいコメント、ありがとうございます!
    すっかり更新が滞ってしまっているコラムですが、
    書きたいことはどんどん溜まってきているので、
    また再開させたいと思います。
    (気長にお待ち下さいませ^^)
    どうぞよろしくお願いいたします。

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